会議で伝えたいことはあるのに、話し始めると説明が長くなったり、結論を見失ったりすることがあります。頭の中だけで順番を整えようとすると、背景や理由まで一度に考えてしまいがちです。
そんなときは、発言前のメモを「論点・自分の考え・次に決めたいこと」の3行に分けてみましょう。文章をきれいに仕上げるためではなく、発言の道筋を見える形にするためのメモです。
3行メモは「論点・考え・次の一歩」で作る
まず、メモに次の3つの役割を持たせます。
- 論点:いま何について話すのか
- 自分の考え:その論点をどうしたいのか、または何がわからないのか
- 次の一歩:会議で何を決めたいのか、誰に何を確認したいのか
論点:○○について
自分の考え:私は△△がよいと考える
次の一歩:今日は□□を決めたい
3行目まで書くと、単なる感想と、会議で扱いたい提案や質問を分けやすくなります。まだ意見が決まっていない場合は、2行目を「判断に必要な情報が足りない」に変えてもかまいません。
発言前に3行へ整える手順
1. 最初に「何の話か」だけを書く
最初から結論を作ろうとせず、まず対象を一つに絞ります。「スケジュール」「担当分け」だけでは広すぎる場合は、「公開日の変更」「問い合わせ対応の担当分け」のように、会議で扱っている範囲まで具体的にします。
2. 自分の考えを一つ選ぶ
賛成、反対、提案、質問のうち、いま最も伝えたいものを一つ選びます。複数ある場合は一つの文へ詰め込まず、優先する内容から別々の3行メモにします。
3. 会議のあとにどうなっていたいかを書く
「共有したい」だけで終わらせず、「候補を一つ選びたい」「担当者を確認したい」「次回までの調査項目を決めたい」のように、次の動きへつながる言葉を置きます。
4. 説明を足す前に3行を読み返す
3行だけを読み、論点と考えがつながっているかを確認します。背景や理由は、そのあとで必要な分だけ付け足します。メモの段階では、整った文章よりも順番がわかることを優先します。
場面別の3行メモ例
以下は架空の例です。実際に使うときは、会議の目的や参加者が共有している情報に合わせて言葉を調整してください。
案を一つに絞りたいとき
論点:案内メールの送信日について
自分の考え:確認期間を取れるよう、火曜日の送信がよいと思う
次の一歩:今日の会議で送信日を決めたい
発言するときは、「案内メールの送信日についてです。私は、確認期間を取れる火曜日がよいと思います。今日は送信日を決めたいです」と、3行の順番で話せます。
担当を確認したいとき
論点:公開前の最終確認について
自分の考え:確認する人と反映する人を分けたい
次の一歩:それぞれの担当者を確認したい
誰かを責める言い方を避け、作業の分け方と確認したい内容に焦点を合わせた例です。
判断材料が足りないとき
論点:作業手順の変更について
自分の考え:影響する範囲がわからず、まだ判断できない
次の一歩:変更対象と開始時期を確認したい
結論が出ていなくても、「何がわからないか」と「何を確認したいか」が書ければ、質問として整理できます。
話題を元の論点へ戻したいとき
論点:今日決めるのは資料の構成について
自分の考え:デザインの詳細は構成決定後に扱いたい
次の一歩:先に見出しの順番を決めたい
脱線を指摘するのではなく、いま決める内容と後で扱う内容を分ける形にすると、発言の目的を示しやすくなります。
3行にできないときの整理方法
論点が二つ以上ある
「日程と担当」「内容と予算」のように論点が複数あるなら、3行メモを分けます。一度の発言ですべてを扱おうとせず、「まず日程について話します」と対象を示すと、聞く側も追いやすくなります。
自分の考えが決まっていない
無理に賛否を決める必要はありません。2行目に「まだ判断できない」、3行目に「判断するために確認したいこと」を書きます。質問の目的が見えるため、単に「わかりません」と伝えるよりも話を進めやすくなります。
理由が長くなる
理由は一つに絞り、詳しい説明は3行のあとに置きます。補足が複数ある場合は、箇条書きにしておくと、質問された内容だけを取り出せます。
話がまとまりにくくなるメモの書き方
- 背景から長く書く:何の話かが後ろへ移り、結論を見失いやすくなります。
- 一行に複数の意見を入れる:どれを決めたいのかが曖昧になります。
- 「気になる」で終える:確認したい点や提案したい動きを3行目へ足します。
- 読み上げる文章を作り込む:言葉を忘れたときに戻れるよう、短い要点を残します。
発言前のチェックリスト
- 1行目だけで、何について話すのかわかる
- 2行目に、意見・提案・質問のどれか一つがある
- 3行目に、決めたいことや確認したいことがある
- 一つの行へ複数の論点を詰め込んでいない
- 理由や背景が、3行の前に長く置かれていない
3行は発言を始めるための道しるべ
会議で話を完璧にまとめてから発言しようとすると、考えることが増えてタイミングを逃すことがあります。まずは「何の話か」「自分はどう考えるか」「次に何を決めたいか」を3行に分けてください。
3行メモは、話す内容を削り切るためのルールではありません。発言の出発点と着地点を確かめ、必要な説明をその間に置くための道しるべです。